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安倍晋三幹事長演説要旨
平成16年6月6日
横浜駅西口
皆さん、こんにちは。自民党幹事長の安倍晋三でございます。本日はこの雨の中、大勢の市民の皆さんにご参集いただき、御礼申し上げます。自由民主党の青年局・青年部におきまして、本日全国一斉のキャラバンを展開しております。目的はふたつあります。ひとつは、現在イラクの復興支援活動に汗を流している自衛隊に対する皆様のご理解を得るため、もうひとつは北朝鮮の問題、特に拉致問題はまだ解決しておりません。この拉致問題を解決しなくてはと日本の声をひとつにして、北朝鮮にこの解決をしてもらわなければなりません。このふたつの目的を持って、われわれは今日全国で、青年局主催で街頭演説会を行っているところでございます。
小泉政権が誕生して、いままでの外交を大きく変えました。ただ単に世界の情勢にあわせてまわりをうかがいながら外交をすすめていくというのではなくて、しっかりと日本の国益を見据えて戦略を持って力強い外交を展開しているわけであります。
まず初めに、イラクの問題についてお話させていただきたいと思います。イラクにおいて、長い間フセイン政権の独裁政権が国民を虐げながらずっと続いてきたわけであります。多くの人たちを虐殺し、自由を奪い、そして大量破壊兵器を作っていると我々が考えてもおかしくない行動を続けてきたわけであります。
その中で米国を中心に世界はイラクのいままでの政策を変えさせよう、そう努力をしてきたわけであります。残念ながら、再三にわたる国連決議に関わらず、イラクは世界の望む方向に政策を変えなかったのであり、その中で米国は武力行使をし、われわれはやむを得ないと考え、支持をしたわけであります。 そして現在、イラク人のための自由で民主的な国をつくるため、国際社会は生みの苦しみの中で努力しているわけであります。
われわれ日本も、この生みの苦しみを分かち合う、そう決断をし、サマワの地に自衛隊を送りました。自衛隊の皆さんはサマワの皆さんに迎えられ、歓迎されながら、危険を伴う仕事ではありますが、日々の復興支援活動に汗を流しています。私はわれわれの取ってきた政策は決して間違いがない、そう確信をしております。そして日本を代表して、イラクの地へ、イラク人のために国づくりに励んでいる自衛隊の皆さんを本当に誇りに思っております。
6月30日までにイラク人の政権に委譲されます。その際、国連決議が行われ、もっと多くの国々がこのイラクの国づくりに参加をする、こういう方向で日本も外交を展開しているわけであります。当然、わが国も今後も法律の許す範囲で今まで同様の支援活動を展開していかなければならない、そう考えているところであります。
次に、北朝鮮の問題があります。5月22日、小泉総理は訪朝し、金正日委員長と首脳会談を行いました。その大きな成果として、地村さんの子どもたち、そして蓮池さんのお子さんたちが日本に来ることができました。そしてご両親と再会し、いまそれぞれ小浜市、柏崎市において家族の団らんのなかで平和な日々を過ごしています。一日も早く日本になじんでもらいたい、そう思います。そのためにわれわれも地村さん、蓮池さん一家を静かに見守っていかなければならないと思います。
しかしまだ問題は残されています。曽我ひとみさんのご主人とお嬢さんたちが残念ながら今回、日本に来ることができませんでした。私たちは一昨年5人の方々を北朝鮮には戻さないと決断をいたしました。私もそう決断した責任者のひとりであります。なぜそう決断したか。それはやはり、北朝鮮においては自由な意思の表明はできない。日本において家族が人質にとられていない、そういう状況のなかで日本でゆっくりと家族で話し合っていろんな情報、そういうものをしっかりともういちど見つめなおせば、やはり北朝鮮にいる時では情報が極めて足りない。金正日政権が与える情報しか得ることはできないのです。しかしこの自由な日本で、日本にいることがいいのか考える、そういう環境をつくるのが日本政府の責任であるという決断をし、われわれはこの5人を帰さないと判断したわけであります。
ですからわれわれはいま、曽我さんが望んでいる自由でゆっくりとした雰囲気のなかで、家族でみんなで話ができる、そういう環境をわれわれはつくらなければいけない。そして曽我さんはこう言っています。「将来、4人で日本で住むことができたらどんなにいいだろう」。われわれは20数年前、曽我さんを拉致の魔の手から守ることができなかったわけであります。われわれは曽我さんを守って、曽我さんの意向に沿ってそういう環境をつくっていくという大きな責任があります。この責任をいま果たさなければならない。曽我さんの望む、そういう状況をわれわれは作っていかなければならない、そう思います。
確かにジェンキンスさんは脱走兵と言われています。ジェンキンスさんはもしかしたら、アメリカに捕まるかもしれないから今の状況では日本に来たくないと思っているかもしれない。しかし曽我さんが、やはり子どもたちの幸せを考えたら日本に来てもらいたいと考えています。われわれは日本の政治家であり、日本国民である曽我さんや曽我さんのお嬢さんたちに対して責任を持って、われわれはその意味においてその責任を果たしていかなければならないと考えております。
さらには横田めぐみさんたち北朝鮮によって死亡したと言われた方たちがいます。8名の方々が死亡している、こう北朝鮮から言われた。そして、死亡報告書が日本に手渡されたわけでありますが、この中身がでたらめであるということは皆さんご承知の通りであります。彼らはこの死亡報告書をわれわれの要求にあわせて、2時間くらいでこの死亡報告書を捏造したのであります。事実上ながら、この捏造を認めていると言ってもいいと思います。
また、曽我さんのお母さん、原さん2名の方が行方不明であります。曽我さんのお母さんは曽我さんと一緒に拉致をされている。それを曽我さんが証言をしているわけですから、北朝鮮がそれを知らないはずがないんです。彼らが正直に、北朝鮮側が拉致をしてどういうことを行ったのか、日本に対して話さなければならない、示さなければならないと思います。この問題が解決をしなければ、拉致問題は解決をしない、このことを北朝鮮は理解をしなければいけない。
小泉総理は金総書記に対して、われわれは納得をしていない、こう迫りました。そして、金総書記は白紙からこの問題についてもう一度調査をするという約束をしました。しっかりとこの約束を果たしてもらおうじゃありませんか。われわれはただ単に信用してはならないんです。一度彼らは嘘をついた。一回嘘をついた国がまた嘘をつく、そう疑うのは当然であります。
今回はしっかりと彼らが真実を述べないかぎり、われわれは国交を正常化しません。正常化交渉はしますが、正常化はしない。正常化して経済援助がほしいなら、彼らはこの問題についてわれわれを納得させなければならない。その義務が彼らにあるということをはっきりと申し上げたいと思います。
われわれは北朝鮮に対して対話と圧力という姿勢で外交を展開していくことを決定しています。その中で小泉総理は2回も訪朝をしました。外交慣例を破って、そういわれるなかであえて、あえて2回も総理は訪朝した。この意味は大きいんです。今度は彼らが誠実に対応する番です。そういいながら彼らが誠実に対応しないのであれば、われわれが圧力をかけるのは当然であります。われわれが今まで北朝鮮に対して誠意を示してきたのは間違いがないんです。100万トンを超えるコメ支援をしてきた。お金に直せば、2000億円以上の支援をしてきた。しかしそれに対しての対応はほとんどなかったのは事実であります。彼らが本当に誠意ある対応をするかどうか、しっかりと見極めていかなければいけない。
そのためにわれわれは圧力をかける外交カードを持たなければいけないと考えて、自由民主党が中心となって、北朝鮮がもし事態を悪化させ、安全保障上の問題が発生し、誠実に対応しないのであれば経済制裁を加えることができる法案をこの国会で成立させました。お金とモノの流れを止める、外為法と外国貿易法の改正であります。そして今、国会において船を止めることができる法律が衆議院を通過いたしました。あとは参議院で成立すれば、この外交カードを私たちは得ることができます。北朝鮮は、1年間に1000隻以上の船を日本に寄港して貿易を行っています。われわれがこのカードを使えば、大変な影響を与えることができるのは明らかであります。
彼らは何度か、この法律を阻止をしようとしてあらゆる工作活動を展開してまいりました。マスコミ界においてもそうです、言論界においてもそうです。テレビで発言している文化人や評論家、コメンテーターも全部に働きかけを行ってきました。その働きかけが効を奏して、何人かのコメンテーターは、そんな法律はやめたほうがいい、あるいは、そんなものを通したって成果はない、北朝鮮が怒る、そういうコメントを北朝鮮の注文どおりにテレビでしゃべっています。
政界に対しても、いろんな圧力や誘惑や、工作がありました。しかしわが党の、この法案の議員立法を手がけている若い議員はそんな誘惑や工作には負けませんでした。そして今やっと、この法律が通過しようとしている、それは、自由民主党が大きく変わったことの大きな証明でもあると思うわけであります。しっかりとこの法律は通していかなければならないと思います。
今まで北朝鮮産の多くの覚せい剤が、日本に流れ込んでおりました。私が官房副長官になって、こうした不正な取引をしっかりと取り締まるべきだと警察に厳しく命じ、長い間やってこなかったやるべきことを今やっています。そして北朝鮮からも麻薬の流入がかなり減少しています。われわれはこれを完全に根絶やしにしなければならないと思います。そうした責任はしっかりと果たしていかなければならないと思います。誰がこういう問題にブレーキをかけているか、誰が日本の国益に反しているか、国民の皆さんによく見ていただきたい。こういうふうに思います。われわれはしっかりと静かに、こうした責任を果たしながら、横田めぐみさんたちまだ北朝鮮に残っている、おそらく私は生きていると思います、その皆さんの、日本人の救出をめざしていきたい。自由民主党としても、そのために全力を挙げてまいりますことをここにお誓いを申し上げる次第であります。
われわれはしっかりと強力な外交を展開してまいります。民主党にはできません。国会で次々とルールを破る、ただ単にあのような混乱、40年前と変わらない政党にこうした責任を果たしていくことができないのは明らかであります。岡田さんも、かつて5人の被害者を帰さないと決断をしたときに、北朝鮮の言う通りに5人を帰すべきだと言ったのは、岡田さんであります。そんな人にこの国をまかせてはおけない、それは当然のことです。どうか皆様、自由民主党に大きなご支援をいただけますようにお願いを申し上げまして、私の壇上からのご挨拶とさせていただきます。ありがとうございました。
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